43歳の女性。うつ病。半年前に子供が1人暮らしを始めてから気分が落ち込み、布団で寝たままでいることが増えた。家事を夫が行うようになると、「夫に迷惑をかけている自分は生きている価値がない」と口にするようになり、夫に連れられ精神科クリニックを受診した。服薬治療が開始され、症状が改善してきたため外来作業療法が処方された。導入時の作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1→スケジュール表に従った参加を促す必要はない。うつ病は、几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。そのため、スケジュール表があると、体調が悪くても参加しようとし、さらに症状が悪化してしまう場合が多い。
2→枠組みのある構成的作業を導入するのは正しい。作業基準は、①工程がはっきりしている。②短期間で完成できる。③安全で受身的で非競争的である。④軽い運動(いつでも休憩できる)である。
3→患者が作製した作品について賞賛する必要はない。うつ病の場合、他者からの評価を気にするため、賞賛されると「次も頑張らなければいけない」とプレッシャーになってしまう恐れがある。
4→意欲の低下が認められた場合は作業遂行を促す必要はない。うつ病は、几帳面で完璧主義、責任感が強い人が多い。そのため、体調が悪かったり、意欲が低下している時も担当の仕事があれば無理に作業を完遂しようと試みたり、その中で作業療法士が作業を促すとさらに症状悪化する場合が多い。休むことを促すようにするのが良い。
5→体調とともに気分も改善はしやすいが、心配ないと励ます必要はない。うつ病患者には、励ましは心理的な負担となる。また心配ないとしても、大きな心配となっている可能性がある。「心配ない」と一方的かつ否定的ともとれる発言をするよりは、気持ちを受け入れ、共感的な態度を示すよう心掛けるのが良い。