32歳の男性。通勤途中に突然激しい動悸や息苦しさ、めまいとともに、このまま死んでしまうのではないかという強い不安に襲われた。これらの症状は数分で消失したが、その後もたびたび同様の状況に陥った。また同じような強い不安に襲われるのではないかという恐れから、列車や飛行機の1人での利用ができなくなっている。
考えられるのはどれか。2つ選べ。
1→適応障害とは、大きな生活の変化、例えば進学、就職、転居などに関わる出来事やストレス性の出来事、離別、死別などに対して、順応するまでに様々な症状(抑うつ気分、不安など)を呈するものである。例えば、職場の勤務異動により、新しい部署の仕事や人間関係に慣れることができずに、苦悩や情緒不安定な状態が特続することである。本症例は適応障害ではない。
2→本症例の説明から、広場恐怖の症状の特徴がみられる。群衆の中や容易に外に逃れられない場所(映画館、公衆便所の中、列車の中など)で恐怖を感じてしまい、それらの場所を避ける症状は広場恐怖である。
3→社交恐怖では、「ほどほどの知り合い」 の集団の場、例えばクラスメートや職場などで、過剰な不安や緊張が誘発され、動悸、震え、吐き気、赤面、発汗などの身体症状が強く発現する。
4→パニック障害とは、パニック発作が予想できずに頻回に起こり、それらが起こりそうな場所に行くことを避ける広場恐怖や、予期不安(また同じような強い不安に襲われるのではないかという恐れ)を伴うものである。
5→急性ストレス反応とは、「その人の生命を脅かすような大きな出来事に遭遇し、その最中またはその後に自分が麻痺してしまったような感覚が出現し、この出来事を想起させるような状況を避けるなどの症状が2日から4週間持続する反応」をいう。設問から、「生命を脅かすような大きな出来事」の記載はないため、可能性は低い。