19歳の男性。統合失調症。幻覚妄想がみられ、両親に付き添われて精神科病院を受診した。病識は曖昧であったが、外来医師と両親の説得で本人が入院に同意した。入院2日目の夜になって「こんなところにいては、お前はダメになる。薬を飲むと頭が変になってしまうぞという声が聞こえる。一刻も早く退院したい。入院時の同意は取り下げる」と強く訴え興奮したため、精神保健指定医の判断によって、両親の同意の下、非自発的な入院形態に変更された。
この患者の変更後の入院形態はどれか。
1→医療保護入院は正しい。医療保護入院は、精神保健指定医の診察の結果、精神障害が認められ、医療および保護のための入院が必要だと判断された場合、本人の同意が無くとも保護者の同意があれば入院させることができる制度である。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態である。本症例の場合、患者は未成年であるので、原則として両親双方の同意が必要である。
2→応急入院とは、医療と保護のために入院の必要があると判断されたものの、その家族等の同意を得ることができない場合に、精神保健指定医の診察により、72時間以内に限り、応急入院指定病院に入院となる制度である。
3→緊急措置入院とは、措置入院に該当する症例ではあるが、急速を要し、2名の精神保健指定医の診察ができない場合に、1名の指定医の診察で、72時間以内に措置入院ができる制度である。72時間以内にあらためて2名の指定医による診察が必要である。
4→措置入院とは、自傷他害のおそれのある患者に対して、2名の精神保健指定医が入院の必要性を認めた場合に入院させることができる制度である。都道府県知事または政令指定都市の市長の命令による。患者本人の同意は、必ずしも必要としないが、精神保健指定医の診察は2人以上の診察が必要である。
5→本人の同意に基づく入院である。本人から退院の申出があれば、退院させなければならない。精神保健指定医の診察は必要ないが、書面による本人意思の確認が必要である。