1→問題行動に対する本人の捉え方は、躁病相の初期評価時に得るべき情報としては優先度が低い。作業療法の初期評価で大切なことは、他職種から提供された医療情報や本人や家族との面接から得られた情報をもとに、病気になる前の生活状況を理解することである。躁病に伴う目標指向性の過剰な上昇や快楽的活動への執着などは日常生活に影響を及ぼす恐れがあるため、思考について問診する際はタイミングを見極める必要がある。
2→本人の社会的役割は、躁病相の初期評価において重要な情報源となる。躁病には、自尊心の過剰や思考の誇大化など、現実との乖離を引き起こす特徴がある。
3→処方されている薬物は、躁病相の初期評価時に得るべき情報である。双極性障害は、気分安定薬で再発の防止や頻度の減少が最も期待できる疾患である。気分安定薬は、抗躁薬ともよばれ、躁状態の改善に有効である。また、気分障害に関連した疾患の再発防止にも有効。抗躁薬の炭酸リチウムは、効果が現れる血中濃度と副作用が現れる濃度の幅が狭いので、血中濃度をこまめに測定して中毒症状を予防しなければならない。重度の中毒症状では、運動失調、せん妄、意識障害がみられる。
4→睡眠の状態は、躁病相の初期評価時に得るべき情報である。躁病の特徴として、睡眠欲求の減少がみられるためである。
5→併存疾患は、躁病相の初期評価時に得るべき情報である。併存疾患(併存症)とは、別の病気を併存している状態のこと。双極性障害には、アスペルガー症候群や注意多動性障害(ADHD)、不安障害がみられる。