9歳の男児。痙直型四肢麻痺の脳性麻痺。頭部保持は可能で、座位保持は両手の支持が必要である。立位は介助があればわずかにできる。この児が机上で道具の操作を練習する際に両手を使用するための姿勢として最も難しいのはどれか。
1→車椅子で体幹ベルトを用いた座位より、選択肢の中で難しい姿勢があるため間違い。本症例の座位保持は、「両手支持で可能」であり、車椅子座位は股・膝関節屈曲位できる。さらに体幹ベルトを用いれば、比較的安定性を得られると思われる。
2→床上で両肘を机上に置いた長座位は、姿勢として最も難しい。下肢の後面と臀部を基底面にしているが、座位と比べると、重心が後方へ偏りやすく、上半身が不安定になりやすい。また、長時間の維持には疲労が伴うのが特徴である。長座位はもともと重心が後方に傾きやすく、難易度が高い姿勢である。本症例では、机上で道具の操作を練習する際に両手を使用するための姿勢として長座位を選択することは適切ではないと考えられる。
3→床上で両肘を机上に置いた割り座より、選択肢の中で難しい姿勢がある。割り座は、膝関節を曲げて体重を支持基底面の中心にかけることで安定性を高める姿勢である。一般に”お姉さん座り”や”トンビ座り”と呼ばれるものである。しかし、割り座は股関節の内転・内旋を促進するため、痙直型両麻痺児には適切な肢位とは言えない。
4→座位保持装置を使用した座位より、選択肢の中で難しい姿勢がある。座位保持装置は、『機能障害の状況により、座位に類した姿勢を保持する機能を有する装置を含むもの』と厚生労働省の告知資料に記載されている。これは、座る姿勢を保持する機能が備わった「椅子」のことである。多くの場合、体幹ベルトが装着されており、安定した座位が可能であると言える。
5→立位台を使用した立位より、選択肢の中で難しい姿勢がある。立位台を使用すると、立位のみでは不安定で小さい支持基底面を前方に拡大することができ、安定性が向上する。立位台の角度は調整可能なので、症例に合わせて机上での道具操作の練習が可能。