13歳の男子。1か月前から膝の疼痛が生じ、近医を受診。精査が必要となり大学病院へ紹介された。左大腿骨遠位に境界不明瞭な腫瘤を触れる。単純エックス線写真を下に示す。化学療法が始まり、リハビリテーション治療が処方された。
リハビリテーション治療について正しいのはどれか。
1→化学療法の実施中は、日和見感染を生じやすく、易感染性に注意する必要がある。本症例は、癌細胞に対して抗がん剤を投与しているため。抗がん剤は、癌細胞の分裂や増殖を阻害したり、再発や転移のリスクを減らしたりする薬物である。骨肉腫(悪性腫瘍)の患者は、免疫系の機能が低下しており、通常は感染しないような病原菌に感染しやすくなる(日和見感染)。その他にも、糖尿病・肝硬変・腎不全・低栄養・無ガンマグロブリン血症などの基礎疾患をもつ患者や、重度の外傷・広範囲の熱傷患者、ステロイド・抗癌剤・免疫抑制剤の使用、放射線治療を受けた患者などは、日和見感染に注意しなければならない。
2→患部のマッサージは、リンパ性の浮腫や精神的疼痛の緩和に効果があるが、積極的に行う必要はない。マッサージは、他の治療法と併用することで、より効果的になる場合があるが、マッサージを行う優先度は低い。
3→患側の運動負荷は健側と「同様」ではなく、「減らすべき」である。なぜなら、骨肉腫は進行すると骨が弱くなり、軽いけがでも骨折することがあるため。
4→骨端線に近い場合、病巣の有無に関わらず、温熱療法(超音波療法)は禁忌である。
5→健側のリハビリテーション治療は、化学療法前から行う。化学療法は、抗がん剤を使って癌の治療をする方法である。抗がん剤は、癌細胞の成長を止めたり、再発や転移のリスクを減らしたりする効果があり、化学療法には副作用もある。アレルギー反応やだるさ、吐き気、下痢なが起こる。そこで、健側のリハビリテーション治療は、化学療法の前に行うことが重要。健側は化学療法前にできるだけ機能を高めておく必要がある。