7歳の男児。幼児期から落ち着きがなく、一つのおもちゃで遊べないなどの行動があった。小学校入学後、長時間椅子に座れない、順番を待てない、注意散漫などの問題行動があり、外来作業療法を受けることになった。作業療法では、次第に活動に継続して取り組めるようになってきたが、協調動作が必要な作業は苦手である。知能検査では知的障害は認められなかった。作業療法を行う上での留意点として適切なのはどれか。
1→複数の課題を「同時」ではなく「一つずつ」に提示する方が良い。注意欠陥多動性障害(ADHD)は、注意欠如や衝動性により、複数の課題を同時にこなすことが困難であるため。
2→順番が守れない場合は、厳しく注意するのは不適切である。注意・叱責は強く行うのは、自信喪失や自尊心の低下につながりやすい。順番が守れない行動をした場合は、注意がそれないような環境調整を行う。子どもの周囲の環境(学習環境、生活環境など)で、子どもの良い行動を引き出すようにすることが重要である。
3→周囲に受け入れられる行動は積極的に褒めるのは適切である。褒められることは男児にとって快感であり、適正な行動をすれば褒められて快感が得られることを学習するようになり、適正な行動が増えてくる。
4→数週間継続して取り組める連続課題を実施する優先度が低い。本症例の場合、幼児期は落ち着きがなく、一つのおもちゃで遊べないと記載されている。連続課題は注意散漫になりやすいため、その日に完成することができる作業が望ましい。
5→作業台の上にいろいろな道具や材料を揃えておく必要はない。作業台の上には最低限の物品のみ置くようにする。視野内に道具や材料が多くあると、目移りしてしまい作業に集中しにくくなるため。