21歳の男性。2か月前から「自分しか知らないはずのことを皆が知っている」と訴えるようになった。1か月前から自室にこもるようになり、一人きりで誰かに応答しているような様子がみられた。1週前から「変な味がする」と言い、母が作る食事を食べなくなった。家族が精神科の受診を勧めたが、本人は「自分はどこも悪くない」と言って頑なに拒んだ。この患者にみられない症状はどれか。
1→観念奔逸は、この患者にみられない症状である。観念奔逸とは、考えが次々と方向も決まらずにほとばしり出る状態で、躁病でみられる。
2→思考伝播は、この患者にみられている症状である。「自分しか知らないはずのことを皆が知っている」という訴えがある。これは、思考伝播であり、統合失調症で見られ、自分の考えが他者に伝わっているように感じる症状である
3→対話性幻聴は、この患者にみられている症状である。設問の「一人きりで誰かに応答している」という訴えは、対話性幻聴であり、統合失調症で見られ、自分に話しかける声、自分のことを噂していることなどが聞こえてくる。周囲の人は1人で誰かと話しているように見える。
4→彼毒妄想は、この患者にみられている症状である。設問の「母が作る食事を食べなくなった」という訴えは、被毒妄想であり、統合失調症で見られ、食べ物に毒を入れられたと感じ、食べることができなくなる症状である。
5→病識欠如は、この患者にみられている症状である。問題文の「自分はどこも悪くない」と受診を拒んだこととで、病識欠如が示唆される。これは、統合失調症で見られ、自分の病気を認識することができず、「自分は病気ではない」と思い込む症状である。