35歳の男性。交通事故による外傷性脳損傷で入院となった。受傷10日後から作業療法が開始された。運動麻痺や感覚障害はみられなかった。些細なことで怒りをあらわにし、作業療法中も大きな声をあげ、急に立ち上がってその場を去る、というような行動がしばしばみられた。患者はこの易怒性についてほとんど自覚しておらず病識はない。
この患者の怒りへの対応で最も適切なのはどれか。
1→原因について自己洞察を促すのは、優先度は低い。本症例は、病識が欠如している状態であるため、言動に対する本人の気づきや理解を求めることは難しいため。
2→感情をコントロールするよう指導するのは、優先度は低い。本症例は、この易怒性についてほとんど自覚していないため、脱抑制(易怒性)に対しては、リラックスする方法を教えたり、不適切な行動は指摘するが責めないなどの対応をするのがよい。
3→周囲に与える影響を書き出してもらうのも、優先度は低い。本症例はこの易怒性についてほとんど自覚しておらず、病識はないため。
4→どのような場面や周囲からの刺激が言動を誘発するか注意深く観察して対策を講じる必要がある。適切な対応である。
5→症例は病識が欠如しているため、脳損傷との関係について理解が得られるまで説明するのは難しい。