39歳の男性。アルコール依存症。前回退院後に連続飲酒状態となり、妻からの依頼で2回目の入院となった。入院の際、妻からお酒をやめないと離婚すると告げられた。離脱症状が治るのを待って作業療法が開始された。用意されたプログラムには自ら欠かさず参加し、特に運動プログラムでは休むことなく体を動かしていた。妻には「飲酒による問題はもう起こさないので大丈夫」と話している。
この患者に対する作業療法士の対応として最も適切なのはどれか。
1→本症例は、運動プログラムを休むことなく体を動かしている。これ以上運動プログラムを増やして運動負荷をかけることは、疲労の原因となることから不適切である。
2→本症例は、運動プログラムを休むことなく体を動かしている。症例に必要なことは努力を続けることではなく、休息である。さらに努力を続けるように伝えることは、疲労の原因となることから不適切である。
3→患者に対し、支持的に接し、不安が示されたら受け止めることは対応として適切である。気持ちの傾聴、寄り添い、共感することは患者と良い人間関係を築くためにも必要なことである。
4→妻には「飲酒による問題はもう起こさないので大丈夫」と話していることから、すでに今までも「離婚されないため」にプログラムを行うことが動機づけになっていたと考えられる。今後も離婚されないためということを動機づけに用いることは、不適切である。
5→アルコール依存症は病識を持ちにくい特徴がある。過去の飲酒問題に対して、患者本人が受け止め、意識的に治療が継続できるように支援する必要がある。過去の飲酒が引き起こした問題に触れないでおくことは、不適切である。