80歳の男性。要介護2。妻と2人暮らし。上肢機能は保たれているが、下肢の支持性の低下がある。認知機能は保たれている。尿意はあり、日中は洋式トイレでズボンの上げ下ろしの介助を受けて排尿している。便失禁はないが、夜間の居室での排尿方法を検討している。「妻を起こさずに自分で排尿したい」との希望がある。排泄用具の写真(下図)を示す。
選択する排泄用具として適切なのはどれか。
1→①間欠的バルーンカテーテルは、排尿障害を有する患者を対象に行う排尿方法である。本症例に排尿障害はないことから、選択する排泄用具として不適切である。
2→②差し込み式便器は、尿便意を訴えることができる寝たきりの患者がベッド上で排泄するために用いられる。本症例は、下肢の支持性の低下があるが、寝たきりではないことから、選択する排泄用具としては不適切である。
3→③自動排泄処理装置(おむつ型)は、尿便意を訴えることができない寝たきり患者やトイレが間に合わない患者が、ベッド上で排泄するために用いられる。本症例は、寝たきりではないことから、選択する排泄用具としては不適切である。
4→④自動吸引式集尿器(手持ち型)は、レシーバーを陰部にあてがい、排尿があると自動的に尿を吸引してタンクに貯める排泄用具である。男性の場合はベッド上仰臥位や側臥位、座位の姿勢で使用することができる。尿意があるがトイレに間に合わない患者や、本症例のように尿意はあるがズボンの上げ下ろしに介助が必要な患者のトイレ自立を図ることができる。本症例の選択する排泄用具として適切である。
5→⑤ポータブルトイレは、居室やベッドの付近に設置して、排泄できる環境を患者の近くに作るための福祉用具である。移動が困難であったり、トイレが間に合わない患者に用いられる。ポータブルトイレ使用時にもズボンの上げ下ろし動作は必要となってくることから、選択する排泄用具として不適切である。