32歳の女性。統合失調症。デイケアに通所しているが、いつも人を避けるように過ごしていることが多い。スタッフが面談の中でその理由を尋ねると「会話をしていると、途中から何を話しているのか分からなくなります。それが恐くて人と話をする自信がないです」と訴えた。
この患者の症状の評価で最も適切なのはどれか。
1→GAF(機能の全体的評定尺度)とは、社会的・心理的・職業的機能を評価するために1~100で数値化されたスケールのことである。評価は、数値が大きいほど精神面が良好と判断され、過去1週間の最低レベルを評点とする。
2→BADS(遂行機能障害症候群の行動評価法) は、前頭葉の遂行機能を評価するものであり、感情や人格、動機付け、行動、認知の4カテゴリー(計20の質問)で構成されている。
3→WCST(ウィスコンシンカード分類テスト)は、強化学習の状況の変化に直面した際の柔軟さを意味するセットシフティング (set-shifting) の能力を見るための神経心理学的課題である。「前頭葉の実行機能」を調べる検査である。提示されたトランプのようなカードを色・数・形のどれに基づいて分類するかを評価し、高次脳機能障害の検査などに用いられる。
4→Rehab(精神科リハビリテーション行動評価尺度)は、精神科リハビリテーションの効果を判定する、多目的の行動評定尺度。 病棟・デイケア・社会復帰施設などで観察した行動を評価する。23項目の評定からなる評価用紙に、対象者の「逸脱行動」「全般行動」を記入して評価する。
5→本症例は、統合失調症であるため、統合失調症の評価であるBACS-J(統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版)が正しい。BACS-Jは、言語性記憶と学習・ワーキングメモリー(作動記憶)・運動機能・注意と情報処理速度・言語流暢性・遂行機能の6つの認知機能領域を評価する7つの検査で構成される。