43歳の男性。統合失調症。幻聴と妄想が消失せず9年間の入院生活を送っていたが、入院患者の地域生活移行を進める方針の下、地域のアパートを借りて退院することになった。そこで、本人の地域生活を支えるため、作業療法士、看護師、精神保健福祉士、医師らがチームを組み、24時間365日体制で相談や訪問のサービスを開始した。
このサービスに該当するのはどれか。
1→Assertive Community Treatment(ACT):精神障害者への包括型地域生活支援プログラムとは、地域社会の中で自分らしい生活を実現・維持できるようにするための、包括的訪問型の支援を提供するケアマネジメントモデルのひとつである。精神障害者が地域社会でうまく生活を継続することができるように多職種が365日・24時間体制でチームにより関わる仕組みである。
2→Illness Management and Recovery(IMR):疾患の管理と回復とは、回復のための心理社会的な治療法を中心とするプログラムである。プログラムには、心理教育、認知行動療法、再発予防のための方策、社会生能訓練、対処技能訓練が含まれている。
3→Individual Placement and Support(IPS)は、就労支援専門員と医療関係者でチームをつくり、精神障害者の就労を支援するものである。症状の安定度や職業準備性よりも就労意欲を重視し、仕事の中で自分を高め、最終目的を疾患からの回復とするものである。
4→Intentional Peer Support(IPS)は、人同士が支え合うピアサポートが中心となっている。一般に、「同じような立場の人によるサポート」といった意味で用いられる言葉である。「ピア」を単に同じ精神健康に困難を有する者同士という関係としてとらえるのではなく、同じ人間としてのピア、生きていく仲間としてのピアととらえ、相互に責任を有し敬意を払うという基本姿勢や、相互に学び合う関係を、意図をもって実践していくものである。
5→Wellness Recovery Action Plan(WRAP):元気回復行動プランは、①リカバリーに大切なこと、 ②元気に役立つ道具箱をベースに6つのプラン「①日常生活管理プラン、②引き金になる出来事に気づき対応するための行動プラン(外的要因)、③注意サインに気づき対応するための行動プラン(内的要因)、④調子が悪くなってきているときのサインに気づき対応するための行動プラン、⑤クライシス(緊急状況)プラン、⑥クライシス後プラン」について、自分や同じような悩みをもつ人の体験やアイデアについて語り合うものである。