1→設問より、この患者には記憶障害が見受けられることから、日常生活に近い状況をシミュレートして日常記憶の診断ができるRBMT(Rivermead behavioural memory test:リバーミード行動記憶検査)を行うことは適切である。
2→FAB(Frontal Assessment Battery at bedside: 前頭葉機能検査)は前頭葉機能に対するスクリーニング検査である。概念化能力、思考の柔軟性、運動のプログラミング、干渉刺激に対する敏感さ、抑制コントロール、把握行動の6つの下位項目からなる面識形式で行う簡易的な検査法。症例に前頭葉障害の記載は無いが、外傷性脳損傷の為可能性はある。
3→TMT(Trail making test)とは、注意の維持と選択、また、視覚探索・視覚運動性を測定する検査である。症例に注意障害の記載は無いが、外傷性脳損傷の為可能性はある。
4→SPTA(Standard Performance Test for Apraxia:標準高次動作性検査)は習慣的動作、着衣、描画などについて検査を行い、失行症を中心とする高次脳機能障害を評価する。症例は記憶障害、見当識障害などは見られるが、ADLは自立していることから動作性の障害が見られないため評価を行う必要性は低い。
5→MMSE(Mini mental state examination)は、認知機能の状態を客観的に評価するものである。長谷川式簡易認知機能検査スケールと同様に認知機能や記憶の障害に対するスクリーニングとして用いられる。