45歳の女性。2〜3年前から上肢の筋力低下の進行と嚥下障害が認められ、筋萎縮性側索硬化症と診断された。現在、上肢の筋力はMMTで肩関節周囲2-、手指筋2、頸部・体幹筋と下肢は3。移動は車椅子介助、車椅子への移乗も軽介助を必要とする。食事はポータブルスプリングバランサーを使用して自立しており、その他のADLは全介助となっている。発声によるコミュニケーションは可能だが、呼吸機能は徐々に低下している。
この患者に今後導入が予想されるコミュニケーション機器はどれか。2つ選べ。
1→人口喉頭であり、手で装置を首元に持ってくる動作やボタンの操作が必要である。今後の筋委縮・筋力低下も考慮すると長期で利用することは困難。
2→助聴機であり、難聴の方に適した福祉用具である。ALSでは聴覚などの知覚は障害されにくい。
3→透明文字盤であり、眼球の動きでコミュニケーションが行える。ALSでは外眼筋障害が発生しにくく、眼球運動は比較的長期期間保たれるため適している。
4→福祉電話であるが、本症例は呼吸機能が徐々に低下しており、今後発声が困難になることが予測される。また、今後もさらなる筋委縮が予測され、ボタン操作も長期的に行うことは困難。
5→意思伝達装置であり、瞼の動きでコミュニケーションが可能となる。四肢の筋萎縮が進行しても瞼の動きでコミュニケーションを行うことができる。