20歳の男性。幼少期は1人遊びが多かった。小学校から高校までは成績は概ねよかったものの、正論的発言が多い、融通が利かないなどによって集団になじめず、いじめを受けることも多かった。大学に入ると、講義科目は問題ないが、演習科目のグループワークで相手に配慮した発言がうまくできず、メンバーから避けられることが多くなった。大学2年生になると、過去のいじめ体験を思い出してパニックになることが増え、自宅の自室に引きこもる状態となったため、母親に連れられて精神科を受診し外来で作業療法が開始された。
この患者の作業療法で適切でないのはどれか。
1→初めのうちにルールや取り決めをしっかり明示しておくと、患者は作業に対して混乱しにくく作業療法がスムーズに行いやすいことから、適切である。
2→作業療法として興味や関心がある活動を導入することは、適切である。興味がない活動を導入すると作業療法がスムーズにいかない恐れがある。
3→作業手順を言葉で細かく患者に伝えることは、混乱をきたす恐れがあるため、不適切である。言葉のみでなく文章や図・絵などで、情報量を絞って伝えることが好ましい。
4→心理教育プログラムとは、疾患の概要や治療方法・経過を知ることで障害に対する理解を深め、今後の日常生活での対処法、再発防止について学習することである。この患者の作業療法として、適切である。
5→パラレルな場とは、一つの場を共有しながら各個人が個別に課題をすすめていく空間のことである。この患者は自閉症スペクトラム障害と考えられ、集団行動が不得意なことから、作業療法でパラレルな場を用いることは、適切である。