21歳の女性。大学生で単身生活。日中は講義に出席しているが、帰宅すると過食と自己誘発性嘔吐に時間を費やし、睡眠時間が取れず、遅刻するなど日常生活に支障をきたしている。心配した母親に連れられて精神科を受診した。過食後の自己嫌悪感も強く、抗うつ薬を処方されたが、最近ではリストカットなどの自傷行為も見られるようになった。ある日作業療法室で本人が近況について報告してきた。
そのときの作業療法士の本人への対応として最も適切なのはどれか。
1→摂食障害の患者に対して、過食や嘔吐の症状以外に関心を向けるよう作業療法をすすめていくことが必要である。そのことから、過食の理由を尋ねることは不適切である。
2→摂食障害患者で自傷他害や自殺などの問題行動がある場合は、品物や環境の管理・改善を行い予防していくことが必要である。ただ単に自傷行為を禁じることは不適切である。
3→本症例は、リストカットなどの自傷行為も見られるようになっており、急性期で精神的に不安定な状態である。現時点で遅刻している講義の出席状況を把握することは、優先順位としては低いと考えられ、不適切である。
4→摂食障害患者に対しては、信頼関係を構築することが大前提となり、その上で作業療法を行っていくことになる。そのために、共感的、需要的な態度で接し、心配している気持ちを伝えることは、作業療法士の対応として適切である。
5→本症例は、問題文から過食嘔吐症状から日々のスケジュール管理ができていない状態である。摂食障害患者は自尊心が高く傷つきやすい傾向があり、できないことを現時点で自覚させることは、不適切である。