50歳の男性。アルコール依存症。大学を卒業後、就職したころから飲酒が始まる。転勤で一人暮らしになってから飲酒量が増加し、仕事もやめ昼夜問わずに飲み続けるようになった。その後、精神科病院を受診し入退院を繰り返す。主治医には「酒はもうやめます」と言いながらも退院後に再飲酒していた。作業療法士には「酒をやめたいのは本当だが、退院しても仕事が見つからないのでつい飲んでしまう。何とかしてほしい」と話す。
この患者の心理状態として最も適切なのはどれか。
1→否認は、容認したくない感情や経験を実際には存在しなかったかのように振る舞うことである。飲酒行為やその結果に対する周囲の非難・忠告を受け付けなくなる状態になる。
2→共依存とは、自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存した状態で、その人間関係に囚われている関係への嗜癖状態を指す。
3→両価感情ともいう。ひとつの物事に対して、逆の感情を同時にもつこと。例えば、ある人に愛情を感じる一方で憎しみも抱く、食事をしようと思う一方で食べないようにしようと思うなど同時に存在している状態である。本症例は、主治医や作業療法士に両価性の心理状態を見せている。主治医には「酒はもうやめます」と言いながらも退院後に再飲酒していた。作業療法士には「酒をやめたいのは本当だが、退院しても仕事が見つからないのでつい飲んでしまう。何とかしてほしい」と話していた。
4→自己中心とは、他をかえりみず、自分の都合や立場のみを考えて行動することである。
5→刹那主義とは、過去も将来も考えず、今の瞬間の感情のままに生きようとする考え方である。