1→偽関節とは骨癒合機能の停止、つまり保存的加療では骨癒合がされない状態のことを指す。舟状骨骨折、大腿骨頸部骨折、距骨骨折などで好発するとされている。本症例は肘頭骨折であり状態も良好、テンションバンドワイヤリングでしっかりと固定されてことからも偽関節のリスクは低い。
2→変形治癒とは骨転移を残した状態で骨癒合が起こり、その後保存的加療では矯正がされない状態である。本症例に目立った骨転移はなく、しっかりと固定されているため変形治癒は起こりにくい。
3→遷延治癒は骨癒合が通常よりも遅れた状態を意味する。骨癒合機能が消失した訳ではない。偽関節同様に骨折時の不適切な治療や固定期間、過度な骨転移や重篤な粉砕が原因とされているが状態の安定した本症例ではリスクが低い。
4→異所性骨化とは通常は発生しない関節周囲の組織に異常な骨化が起きた状態である。肘関節、膝関節、肩関節、股関節に出現しやすい。本症例は肘頭骨折の症例であり異所性骨化が起きやすい。
5→Sudeck骨萎縮は急速な骨委縮であり、時には疼痛や浮腫も伴う。外傷後の血管運動神経の異常が原因とされており、抹消で出現しやすく手関節損傷後に好発する。