16歳の女子。高校進学後から体型を笑われたように思い、極端な減量をして痩せが目立つようになった。2か月前から登校できなくなって入院治療を受けることになった。入院後、気分転換と早期の復学を目的とした作業療法が処方された。
この患者に対する導入期の作業療法で最も適切なプログラムはどれか。
1→アクセサリー作りのような簡単な創作活動は、神経性無食欲症の患者に対する作業療法の導入期において、最適なプログラムの一つである。神経性無食欲症の特徴は、自己主張が強く競争心が高いという性格的な特徴を持つことが多い。そのため、他者との関係性に過剰に適応しようとする傾向がある。個人作業であるアクセサリー作りは、集団プログラムと比べて、患者のストレスを軽減しやすいと考えられる。
2→柔軟な思考を得るための小集団でのプログラムは、現段階では必要性が低いと考えられる。神経性無食欲症の患者は、一般的には頑固で競争心が強く、自己評価が低いという特徴を持つことが多い。このような患者同士が小集団で関わると、互いに不利益を及ぼす可能性がある。そのため、個別作業を重視する方が適切であると判断される。
3→体力増強のための機器を用いた運動プログラムは不適切。神経性無食欲症の患者は、体重減少を目的として過剰な身体活動を行う傾向があるが、これは健康に悪影響を及ぼす可能性が高い。
4→調理メニューのカロリー計算を行う教育的プログラムは、優先度が低い。主な理由は、病的な痩せ願望や極端な食べ物制限、下剤などの乱用につながる可能性があるため。これらの行動は、より食べ物への関心を強め、逆効果になる可能性がある。可能な限り食べ物以外への関心を向けるように働きかけていくことが必要である。
5→神経性無食欲症は、食欲不振や体重減少が主な症状であり、ADLの障害は起こりにくい疾患。そのため、退院後の生活のためのADLを中心とした退院準備プログラムは、優先度が低い。また設問で問われているのは「この患者に対する導入期の作業療法」であり、退院準備プログラムは、退院日や退院の目安がついてから行っていくのが良い。