1→転換性障害は、脳波に異常を認めず、身体的に疾患などの問題はないが、随意運動機能や感覚機能に異常が現れる障害である。転倒したとしても怪我をすることはほとんどない。そのことから、住宅環境の整備は必要ない。
2→転換性障害の作業療法の基本は、訴えを傾聴し身体症状を把握する。身体的対応を優先し、身体機能の維持向上を図ることである。運動機能障害や感覚障害がみられ、動かないことで廃用性機能障害とならないよう、予防していくことは作業療法で優先すべきことである。
3→転換性障害の治療として、患者の内的葛藤を洞察するような精神分析療法や認知行動療法などが有効である。しかし、まず転換性障害の作業療法として優先すべきことは、身体的対応である。そのことから、無意識の葛藤についての洞察を促すことは、「廃用性機能障害を予防する」より優先順位が低いと考えられる。
4→転換性障害の作業療法として、創作的な作業活動を提供し、自己愛を満たし健康的な自己表現を行うことは大切である。難易度は修正可能で本人のペースで行えるものが良い。難易度の高い作業への挑戦を勧めることは、不適切である。
5→転換性障害の作業療法として、症状への意識を高めないために症状の原因などには触れる必要はないことから、器質的な原因と矛盾点に直面させることは、不適切である。