1→握力は、全身の筋力状態を反映する。また、咬合力も相関関係がある。後期高齢者(75歳~)の握力の平均値は、男性で約35kg、女性で約22kgである。35kgは平均握力があることから、転倒リスクが高いと解釈されない。
2→10m歩行時間は、移動の能力の程度を評価する。通常は助走路として前後各3mを確保して行う。カットオフ値として、屋内歩行は約24秒、屋外歩行は約11秒である。10mを7秒で歩くことが出来る場合は、転倒リスクが高いとは解釈されない。
3→開眼片足立ち持続時間は、片足で立った時のバランス能力の程度を評価する。カットオフ値として、60歳代は70秒、80歳代は10秒である。25秒片脚立ちが持続できる場合は転倒リスクが高いとは解釈されない。
4→ファンクショナルリーチとは、立位で前方へリーチできる最大距離を測定することで、転倒リスクやバランス能力を評価する。後期高齢者の平均値は約34~36cmである。カットオフ値として、虚弱高齢者の場合は「18.5cm未満」、高齢男性では「15.3cm未満」、片麻痺患者では「15.0cm未満」で転倒リスクが高くなる。到達距離が40cmの場合は、転倒リスクが高いとは解釈されない。
5→Timed Up and Go Test(TUG)とは、複合動作能力の程度を評価する。立ち上がる、歩く、方向転換、バランスをとるなどの複合的な能力が必要となり、目と身体や四肢の協調性が評価できる。カットオフ値として、13.5秒以上は転倒リスクが予測され、30秒以上は起居動作や日常生活動作に介助を要すと評価される。