突然の左不全片麻痺を呈して搬送された患者の発症後3時間の頭部 MRI の拡散強調像(別冊No. 1)を別に示す。最も考えられるのはどれか。
1→脳出血など「出血を伴う」病変はCTの検査が最も効果を発揮することから、不適切である。
2→拡散強調像(DWI)とは、超急性期脳梗塞の判断に有用であり、梗塞部位が高信号で描出される。脳の虚血領域を確認するのに優れている特徴を持つ。問題文の画像は、右内包後脚脳梗塞と推測できることから、正しい。
3→脳腫瘍は、MRIのT1強調画像やT2 強調画像で、様々な信号(白や灰色等)を呈する。T2強調画像では、腫瘍周囲に強い脳浮腫があることも多い。髄膜腫を併発している場合は、CTで限局性の骨肥厚の所見がみられることもある。
4→脳動静脈瘻は、MRAでの検査がすすめられる。MRAは、非侵襲的に脳血管を抽出することが可能であり、脳血管障害のスクリーニング検査にも使用されるが、脳動静脈瘻の発見に重きが置かれている。
5→くも膜下出血は、CT検査もしくはMRIのFLAIRの検査を使用することが多いことから、不適切である。CT画像では白色の高吸収域、MRIのFLAIR画像では同様に白色の高吸収域として抽出される。出血が少量の場合や、出血から時間が経った時期では、CT画像だと出血が検出しにくいことがある。その場合でもMRIのFLAIR画像では、出血と診断出来る可能性がある。