33歳の男性。ミュージシャンを志していたが、21歳時に統合失調症を発症し、2回の入院歴がある。3か月前から就労移行支援事業所への通所を開始し、支援によってコンサートホールの照明係のアルバイトに就いた。就労移行支援事業所のスタッフは、定期的に職場訪問を実施して本人と雇用主の関係調整を行っており、主治医やケースワーカーとも連携して支援活動をしている。この患者に行われているプログラムはどれか。
1→CBT(Cognitive Behavioral Therapy:認知行動療法)とは、誤った思考パターンに気づき、より適切な行動に導くことを目的とした治療法である。対象となる疾患は、不安障害、うつ病、パニック障害、恐怖症(広場恐怖や社会恐怖を含む)、ストレス、過食症、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害や重度の精神障害などである。
2→IPS(Individual Placement and Support)は、この患者に行われているプログラムで最も優先度が高い。IPSは、患者の就労への希望と能力を尊重し、症状のコントロールや職業訓練よりも就労支援を優先し、仕事を通じて自分の強み(ストレングス)を発揮し、目標を病気からの回復(リカバリー)に向けるもの。
3→NEAR(Neuropsychological Educational Approach to Cognitive Remediation:認知矯正療法)は、統合失調症患者を対象とし、記憶力・集中力・物事の段取りを考えて実行する能力などの認知機能障害の改善を図るためのリハビリテーションである。
4→SST(Social Skills Training:社会生活技能訓練)は、社会生活を送るうえでの技能を身につけ、集団療法の一つ(認知行動療法の一つ)で、ストレス状況に対処できることを目的に行われる。精神科における強力な心理社会的介入方法である。
5→ WRAP(wellness recovery action plan:元気回復行動プラン)は、重篤な精神科患者であっても元気になって回復できる方法があり、そのためのプランについて考え、自分や同じような悩みをもつ人の体験やアイデアについて語り合うものである。