1→下顎呼吸とは、呼吸中枢機能がほぼ失われた際の異常呼吸で、全身の低酸素時に起こる呼吸である。下顎は動いてはいるが、十分な肺の酸素化はできていない、死戦期呼吸ともいわれる。臨死期などに認められる努力様呼吸であり、胸式・腹式呼吸が困難になると出現する。
2→呼吸困難が臥位で増強し,起坐位または半坐位で軽減するという症状である。起坐呼吸の原因疾患は、①左心不全、②肺水腫、③喘息の大発作時に起こる。
3→Biot呼吸(ビオー呼吸)は、呼吸パターンの異常のひとつである。 特徴は、急速かつ短い促拍呼吸(10~20秒)後に、突然呼吸が中断、その後再び急速かつ短い促拍呼吸が再開する。 脳腫瘍や脳外傷、脊髄・髄膜炎、中枢神経の病変などが原因となる。生命の危機を示唆する呼吸パターンである。
4→正しい、Kussmaul呼吸は、代謝性アシドーシスに起因する、深い大きい規則正しい呼吸をいう。糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症などでアシドーシスを補正するための代償性呼吸である。
5→Cheyne-Stokes呼吸は、呼吸から一回換気量が漸増し大きな呼吸となった後、一回換気量が漸減し呼吸停止(10‐20秒程度の無呼吸)がおこり、その後再び同様の周期を繰り返す呼吸である。周期性呼吸の代表例であり、1周期は30秒から2分くらいのことが多い。中枢神経系が障害され,呼吸中枢の感受性が低下した場合や脳の低酸素状態の際に見られる。