60歳の男性。脳血管障害による右片麻痺。ベッドから車椅子への移乗は1人で何とか可能である。ベッドから車椅子への移乗場面の初回評価において、ベッド、車椅子および作業療法士の相対的な位置関係で適切なのはどれか。
1→ベッドから車椅子への移乗を1人で行うことができる患者の初回評価の場面を記述したものである。移乗時には転倒の危険性が常にあるため、療法士は患者の安全確保を最優先に考える必要がある。そのため、療法士は患者の麻痺側に立ち、患者が起き上がるときに支えることができるようにする。また、車椅子は非麻痺側に置き、ベッドとの角度は20°~45°程度に調整する。さらに、療法士は患者と車椅子の間に入り、移乗の介助やバランスの保持をサポートすることができる位置にいるため適切である。
2→車椅子は足側に配置されているので、立ち上がるときには車椅子の上をまたぐ動作が必要である。さらに、移乗するときには、麻痺した下肢が支えとなるのでバランスを崩しやすくなるため不適切。
3→車椅子への移乗は、本症例にとっては自力で可能なものであるが、療法士は車椅子の後ろに位置している。この場合、移乗中に何か問題が発生した場合に、療法士がすぐに介入できるとは限らない。本症例は初期評価であり、転倒の危険性が高いため、安全性を確保するためには、療法士が本症例の近くにいて、必要に応じて支援できるようなポジショニングが望ましい。
4→車椅子の位置が麻痺側に配置している。そのため患者は麻痺側へ起き上がる必要がある。起き上がれても移乗の際は、麻痺側下肢が軸足となるため不安定になりやすいので不適切。
5→車椅子の位置が麻痺側に配置している。そのため患者は麻痺側へ起き上がる必要がある。起き上がれても移乗の際は、麻痺側下肢が軸足となるため不安定になりやすい。療法士の位置も、車椅子の後方であるため、なにかあった際にはすぐに対応できない恐れがあるため不適切。