45歳の男性。統合失調症。20 年間の入院の後、退院してグループホームに入居することになった。作業療法士は患者の強みとしての性格、才能、希望、環境について、日常生活、経済的事項、仕事などの項目に分けて本人と一緒に確認・文章化し、患者の言葉を用いて退院後の目標を立てた。
本アセスメントの根拠となるモデルはどれか。
1→ICF モデルとは、すべての人々を対象として、障害と健康な状態の両面からその人の「健康状態の構成要素」を評価する分類として策定されたものである。「生活機能」(心身機能・構造、活動、参加)の分類と、それに影響する「背景因子」(環境因子、個人因子)の分類、これに「健康状態」(病気、けが等)を加えたもので構成される。
2→人間作業モデルは,人が意志,習慣化,遂行能力を持ち,その環境を通して適応行動を発達させていくという理論であり,作業療法学における臨床的実践モデルの一つである.どの程度作業に適応しているかは、その人の行動を決定する「意志(動機づけ)」「習慣化」「遂行」「環境」によるものとしている。
3→通常の医療モデルは、患者の弱さに着目しているのとは対照的に、患者がもつ性格・技能・環境・関心などの良い点、すなわち「強み(ストレングス)」に注目してそれを伸ばし、回復に向かわせるような取り組みを行う。それをストレングスモデルという。
4→脆弱性—ストレスモデルは、精神疾患の発症、特に統合失調症の発症に関する考え方の一つである。ストレス脆弱性モデルでは、発症しやすい素質と、その人の限界値を超えるストレスが組み合わさった場合、人間は精神疾患を発症する。発症に果たす個人側の決定的な生物学的要因を指し示す概念であるため、個人因子になる。
5→CMOP(カナダ作業遂行モデル)は、人は作業欲求をもち、作業を行うことを可能にするためには、人と作業療法士の協業的アプローチが重要である」とする作業療法理論である。