67歳の女性。作業療法中に傾眠傾向が続いた日があるかと思えば、声かけにはきはきと受け答えをする日もある。部屋の間違いや道に迷うことも多い。あるとき突然「カーテンの陰に人がいる」と話し怯えだした。
この患者の原因疾患として最も可能性が高いのはどれか。
1→Alzheimer型認知症は、認知機能が変動したり動揺することはない。また、幻視は特徴的ではない。記銘力障害、見当識障害、失語、失認、失行、遂行機能障害、妄想、徘徊が主な症状である。
2→Lewy小体型認知症がこの患者の原因疾患として最も可能性が高い。レビー小体型認知症は、レビー小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、幻視や認知機能の変動と並び、初期のうちからパーキンソン症状がみられるのが特徴である。
3→前頭側頭型認知症は、、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで理性的な行動ができなくなったり、言葉が出にくくなる症状が現れる。1.脱抑制、社会的行動、2.常同行動、3.無関心・自発性の低下、4.共感や感情移入ができなくなる、5.食事や嗜好の変化、6.遂行機能障害、7.失語症状、8.運動ニューロン症状が特徴的である。
4→正常圧水頭症とは、脳脊髄液(髄液)の循環障害によって拡大した脳室が、頭蓋骨内面に大脳半球を押しつけることにより、数々の脳の障害を引き起こす一連の病態である。認知機能障害、歩行障害、尿失禁といった三徴候が特徴的である。
5→血管性認知症は、脳梗塞や脳出血によって引き起こされ、基礎疾患に高血圧・糖尿病・心疾患があることが多く、感情失禁が特徴的である。