70歳の男性。右利き。右内頸動脈閉塞による左片麻痺のため回復期リハビリテーション病棟に入院中。意識清明。日用物品の使用に不便はないが、右側を向いていることが多く、左側の対象物への気付きが遅れることがある。物事には積極的に取り組む一方で、他者へ脈絡なくたびたび話しかけてしまう。
この時期の患者の評価法として適切なのはどれか。2つ選べ。
1→Apathy scaleは、対象者のやる気を客観的に評価するものである。
2→本症例は、右内頸動脈閉塞による左片麻痺を呈しており、右半球症状が出現していると思われる。右向き徴候(右側を向いていることが多く、左側の対象物への気付きが遅れる)”、”脈絡なく話しかけてしまう”ことから左半側空間無視と全般性注意障害が疑われる。BIT(Behavioural Inattention Test:行動性無視検査)は、通常検査と行動検査の2つに分類され、半側空間無視の検査が行えるものであるため適切である。
3→本症例は、意意障害があることから前頭連合野の障害があると考えられる。FAB(Frontal Assessment Battery:前頭葉機能検査)は、前頭葉機能に対するスクリーニング検査であるため適切である。
4→GATB(General Aptitude Test Battery:一般職業適性検査)は、職業適性検査である。本症例は、回復期リハビリテーション病棟に入院中であり、この時期の患者の評価法として不適切である。
5→WAB(Western Aphasia Battery:WAB失語症検査)は、全失語、プローカ失語、ウェルニッケ失語、健忘失語に失語症をタイプ分けできるという特徴をもつ。また半側空間無視の有無も評価できるが、失語症検査がメインであるため、この検査を選択する理由は薄い。