32 歳の女性。境界性パーソナリティ障害。高校生のころから情緒不安定で、慢性的な空虚感を訴えるようになった。卒業後は事務の仕事に就いたが、異性との交際のトラブルから抑うつ気分が強くなり、自傷行為を繰り返した。今回、尊敬していた職場の男性上司との関係が悪化したことを契機に自殺企図があり入院した。この患者に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
1→境界性パーソナリティ障害の患者は情緒が不安定で、対人関係における問題を持ちやすいが、異性との交際トラブルに特化した指導では全体的な対応としては限定的すぎる。
2→境界性パーソナリティ障害の患者には対人関係の安定が求められるが、交流を極端に限定することは、依存を強めるだけでなく、療養生活や社会復帰の際の適応を困難にする可能性がある。
3→境界性パーソナリティ障害の患者にとって、ルーチンや構造がない状況は不安や混乱を増幅させる可能性があり、治療の効果を低下させる恐れがある。
4→常に担当スタッフを変更することは、治療の一貫性や信頼関係の形成に影響を及ぼす可能性があり、長期的な関係性の構築が困難になる。
5→境界性パーソナリティ障害の患者は、安定した関係や環境を必要とする。双方が守るべき規則を明確化することで、安全で予測可能な治療環境を提供し、患者の不安や混乱を最小限に抑えることができる。