16歳の男子。乳幼児健診で異常を指摘されたことはなかったが、乳幼児期、母親の後追いをせず、履いている靴がボロボロになっても他の靴では嫌だと強いこだわりを見せた。大人びた話し方をし、小学校では自分の関心事について熱中して一方的に話すために、友達から避けられるようになって孤立していた。中学校入学後は不登校になり、ゲームに熱中するようになったため、心配した母親が児童思春期専門の医療機関を受診させた。評価に用いるテストとして適切なのはどれか。
1→ASQ(自閉症スクリーニング質問紙)は、自閉症の診断支援ツールとして開発された問診票である。自閉症に特徴的な行動や思考パターンを39項目に分類し、それぞれに「はい」「いいえ」で回答することで、自閉症の可能性を評価することができる。Aspergar症候群(アスペルガー症候群)は、自閉症スペクトラム障害の一種であり、知能や言語の発達に問題がないものを指す。
2→HTP(投影描画法)は、描き手は「家」「木」「人」の絵をかいてもらう。描かれた絵には描き手の心理が投影されている。
3→WAIS-Ⅲ(Wechsler Adult Intelligence ScaleⅢ:ウェクスラー成人知能検査・改訂版)は、成人の知能を個別に測定するための検査である。高次脳機能障害の評価として用いられる神経心理学的検査において、①動作性検査(絵画完成、符号、積木模様、行列推理、絵画配列、記号探し、組み合わせ)と②言語性検査(単語、類似、算数、数唱、知識、理解、語音整列)の2つの部分からなり、14の項目を含む。適応年齢は16歳0ヶ月~89歳 11 か月であり、偏差IQ(知能指数)を算出することができる。
4→バウムテストとは、「実のなる木」を1本自由に描いてもらう描画検査(投影法の人格検査)である。
5→CAARS(Conners’ Adult ADHD Rating Scales)は、成人の注意欠如・多動性障害(ADHD)の症状の程度を評価するための尺度である。検査用紙には「自己記入式」「観察者評価式」の2種類があり、対象者に近い人からの情報をもとに総合的に評価することができる。観察者とは、家族、友人、同僚など対象者の最近の状況をよく理解している人を指す。「自己記入式」「観察者評価式」は、尺度・項目が一致しており、回答者間の情報を比較しやすいことが特徴である。