22歳の女性。幼少期に両親と死別したが、祖父母の支援などで問題なく学校生活を過ごした。学業成績は良かったが、感情が不安定で自傷行為を繰り返し、精神科クリニックに通院しながら高校を卒業した。卒業後は事務職として就職したが、感情が不安定でしばしばトラブルを起こした。最近、些細なことで友人と喧嘩になり、激怒して大量服薬して入院となった。入院後、早期に作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。
1→「完璧主義」とは、心理学の用語で、自分に対して非常に高い基準を持ち、それに達するために懸命に努力するとともに、自分の行動や成果を厳しく評価し、他人の目を気にする傾向が強い人の性格を指す。このような特徴は、強迫性障害の典型的な症状の一つであると考えられている。
2→作為体験とは、自分の意志とは関係なく、他者によって支配され、操作されているという感覚を伴う体験である。この体験は、統合失調症の患者に特徴的に見られる。
3→ 衝動行為は、この症例にみられる特徴であるため正しい。この症例は、理性的な抑制力が欠如しているため、衝動に駆られて突発的で激しい行動をとることが多い。これは衝動行為と呼ばれ、境界性パーソナリティー障害の一つの特徴である。境界性パーソナリティー障害には、他にも以下のような特徴がある。①『二極思考・対人関係の障害』、②『自傷行為』、③『見捨てられ不安』、④『抑うつ、不眠』などである。この症例は、他者からの愛情や優しさ、注目を強く求めており、見捨てられることへの恐怖感が常にある。
4→脱力発作は、情動に誘発されて力が急に抜ける発作で、ナルコレプシーの症状の一つである。ナルコレプシーの症状には、睡眠発作(日中に急に眠気が襲う)、睡眠麻痺、入眠時幻覚などがある。入眠時幻覚とは、寝る直前に現実と区別がつかないほど鮮明で、恐ろしい夢を見ること。
5→振戦せん妄とは、アルコール断酒後に起こる離脱症状の一つである。飲酒をやめてから2~3日で、振戦せん妄が発症します。離脱症状は、アルコールの摂取をやめると、精神的な不安や不眠、肉体的な発汗や吐き気などの症状が現れるもの。離脱症状には、最終飲酒から数時間で始まり、20時間で最も強くなる早期離脱症候群(手足の震え、自律神経の乱れ、発汗、吐き気や嘔吐、けいれん、一時的な幻覚など)と、最終飲酒から72時間ぐらいで起こり数日間続く後期離脱症候群(早期離脱症候群に加えて意識障害が見られるもので、振戦せん妄と呼ばれる。小動物を見る幻覚や日常的な動作を反復する、夜間に顕著になるなど)がある。