22歳の男性。注意欠如・多動性障害。大学卒業後に営業職に就いた。顧客との約束や書類を忘れるなどの失敗が続き、上司が度々指導をしても改善しなかった。子供のころから不注意傾向があり、母親は「しつけをしてこなかった自分に非がある」という。その後も失敗が続いて自信を喪失し、1週前から欠勤し精神科の受診に至った。入院となり作業療法が処方された。この時期の作業療法士の対応として適切なのはどれか。
1→失敗が続いて自信を喪失している時期であるため適切ではない。仕事に適性がないと伝えることで、さらに自信を喪失する可能性もある。
2→休養に専念し職場復帰を焦らないように伝えることは、この時期の作業療法士の対応として正しい。本症例は、注意欠如・多動性障害(ADHD)であるが、失敗が続いて自信を喪失し欠勤になっており、気持ちの落ち込み(うつ症状)もみられている。
3→母親のしつけの失敗の影響が残っていると告げる説明をする必要はない。「育て方やしつけ、指導方法」が原因ではないことを伝える。その上で行動療法を行っていく。
4→上司の指導方法が病気の誘因であることを説明する必要はない。「育て方やしつけ、指導方法」が原因ではないことを伝える。その上で行動療法から行っていく。
5→現場復帰のために対人技能向上を目的とした作業活動を勧めるのは時期尚早である。なぜなら、本症例は、入院となり作業療法が処方された作業療法の導入時期である。現場復帰のために対人技能向上を目的とした作業活動を勧めるのは回復期が終了して社会復帰を目指す時期に行うことが望ましい。