30歳の男性。右前腕部の悪性腫瘍に対し前腕切断術が施行された。断端の長さは標準断端であった。創治癒後、義手を製作することになった。義手装着訓練において正しいのはどれか。
1→屈曲手継手を選択する優先度が低い。本症例は創治癒後、義手を製作する段階であるため 義手装着訓練で重視すべきことは他にあるので間違い。
2→義手訓練は幻肢の軽減に有効である。切断された指の感覚が残る現象を幻肢と呼ぶ。これは、切断によって神経の信号パターンが変化し、脳が正確な情報を受け取れなくなるために起こる。幻肢は痛みを伴うこともあり、義手を使うことで、脳に腕が存在するという錯覚を与えて、幻肢や幻肢痛の症状を和らげることが可能である。
3→義手の手部先端の長さについて、健側の中指先端と同じにする必要はない。義手は一般的に、各指が健側と似た形になるように、指ごとに適切な長さで製作される。
4→断端管理の方法として、末梢部から中枢部へ向かって弾性包帯を巻くことが推奨される。このようにすることで、浮腫の発生を抑えるとともに、断端の適切な癒合を促進することができる。
5→手先具単体の最大開き幅を測定する。前腕義手の場合、開き幅は「70%以上」。上腕義手の場合、開き幅は「50%以上」でなければならない。開き幅が基準に満たない場合、ケーブルの長さや張力を調整する必要がある。