23歳の男性。中学生の頃から対人緊張が強く、人前での食事で発汗や赤面、緊張が強まることがあった。大学進学後も実習の発表時に緊張が強く、動悸や発汗を苦にしていた。卒業後に病院で作業療法士として働いていたが、通勤中のバスに停留所から同僚が数人乗り込んでくると、動悸、振戦、発汗が生じるようになった。車内に知り合いがいなければ不安や自律神経症状を生じることはない。
考えられるのはどれか。
1→解離性障害とは、心的外傷体験・人間関係などを原因として、それらの問題を抱えきれず、記憶・同一性の統合を失うことで当面の苦痛を回避する行動であり、健忘、混迷状態、解離性同一性障害(多重人格)、Ganser症候群などがみられる。
2→強迫性障害とは、自分の意志に反する不合理な観念(強迫観念)にとらわれ、それを打ち消すために不合理な行動(強迫行為)を繰り返す。
3→パニック障害とは、誘因なく突然予期せぬパニック発作(動悸、発汗、頻脈などの自律神経症状、狂乱・死に対する恐怖など)が反復して生じる。
4→本症例のように、対人場面において過剰な不安や緊張が誘発されるあまり、動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が強く発現するのは、社交(社会)不安障害であると考えられる。
5→外傷後ストレス障害とは、極めて強烈なストレスを受けた後、数週間から数ヵ月を経て(6ヵ月以上潜伏期間があることはまれ)、再体験、回避、認知や気分の異常、過覚醒の各症状が4週間以上持続し、著しい苦痛や社会的障害を生じる。