45歳の男性。統合失調症。25年間の入院の後、退院してグループホームに入居することになった。作業療法士は患者の強みとしての性格、才能、希望、環境について、日常生活、経済的事項、仕事などの項目に分けて本人と一緒に確認の上文章化し、患者の言葉を用いて退院後の目標を立てた。
本アセスメントの根拠となるモデルはどれか。
1→ICFモデルとは、健康に関する国際的な共通言語として、人の「健康状態の構成要素」を包括的に記述する分類である。人の健康状態は、①生活機能(心身機能・身体構造、活動、参加の3つの構成要素)と②背景因子(環境因子、個人因子の2つの構成要素)によって影響される。ICFモデルは、これらの要素を相互に関連付けて、人の健康状態を多面的に理解することを目指している。
2→作業適応モデルとは、作業環境が作業する患者個人の①感覚運動機能、②認知機能、③身体的機能に影響を与えるとともに、それらの機能も作業環境に影響を与えるという相互作用の観点から捉えられるべきであり、作業を行う際には、これらの要素を総合的に評価し介入する必要があるという考えである。
3→人間作業モデルは、作業が人間の健康や人間性にどのように影響するかを考えるためのモデルである。このモデルでは、「意志・習慣化・遂行技能」の3つの要素が人の行動を決めると考えている。また、人は「環境」によっても作業に対する適応度が変わると考えている。この4つの要素を分析することで、作業が人にとってどれだけ適切であるかを判断することができる。
4→ストレングスモデルが、設問の本アセスメントの根拠となるモデルである。患者がもつ性格・技能・環境・関心などのよい点(ストロングポイント)に着目して、それを伸ばし、回復させる取り組みを行うことである。
5→CMOP(カナダ作業遂行モデル)とは、「人は作業欲求をもち、人が作業を行うことを可能にするためには、人と作業療法士の協業的(協働的)アプローチが重要である」とする作業療法理論である。