45歳の女性。20歳前後から、心理的負荷がかかるとリストカットを行うようになり縫合を必要とすることが多かった。また、自分の思い通りにいかないと易怒的となり、周囲に暴言を吐くこともあった。25歳時に精神科を初めて受診し、以後、過量服薬時に数回の入院歴があるが、現在は調理の仕事に就いて3年目となる。最近、職場の人間関係で正論を吐きすぎて孤立し、結果として焦燥感が強まり、主治医の勧めで仕事のシフトのない平日の日中に外来作業療法を開始することになった。
この時点での作業療法士の関わりとして最も適切なのはどれか。
1→本症例は病気が原因で、転職が根本的な解決法とはならない。転職をしても新しい職場で同様の結果になることが推測されるため。
2→現在、リストカットはみられるものの自殺企図など生命を脅かす行動には至っていないため、主治医に入院処遇を依頼する必要はない。本症例は、主治医の勧めで仕事のシフトのない平日の日中に外来作業療法を開始することになっている。
3→患者に振り回されることがあるため、チームでの統一した対応をこころがけるのは適切な対応である。治療の枠組みをしっかりつくって、過度に依存的な関係をつくらないことが必要である。境界性パーソナリティ患者は、対人関係が不安定(スタッフに対しても対応が極端である)である。また患者の要望をかなえると、徐々に要望がエスカレートする場合も考えられる。
4→行動化は、自分自身だけではなく、他者を傷つけるおそれがあるため行動化に対しては心的距離を縮めて対応する必要はない。依存を助長しないように適切な心的距離をとりつつ対応するのがよい。
5→患者に振り回されないようにするため、本人の希望に応じて日々臨機応変に対応する必要はない。患者の要望をかなえると、徐々に要望がエスカレートする可能性が高い。