80歳の女性。2年前に夫と死別し、平屋の持ち家に1人暮らし。3か月前に屋内で転倒し、右大腿骨頸部骨折で入院した。人工骨頭置換術後のADLは杖歩行で、入浴のみ見守りでその他は自立し自宅退院となった。退院時のHDS-Rは28点であった。要支援1と認定され、通所リハビリテーションを利用するにあたり、担当作業療法士が自宅訪問することとなった。
初回訪問時の対応で正しいのはどれか。
1→屋内での転倒の原因が住宅の環境によるものと断定できておらず、自宅訪問の際に環境整備が必要かどうかを評価したうえで必要であれば住宅改修を提案するのがよい。初回訪問時での対応において、住宅改修を提案する優先度は低い。
2→作業療法士ではなく、ケアマネジャーの役割に近いため不正解。利用者の経済状況によっては介護サービスの利用控えが起こる可能性はあるため、その場合は作業療法士からケアマネジャーに報告することもある。年金受領額を聴取する優先度は低い。
3→本症例のADLは入浴のみ見守りであるレベルで、通所リハビリテーションで対応する方向になっているため。通所で対応できない場合は、訪問作業療法の切り替えも考慮するが、訪問作業療法を勧める優先度は低い。
4→夫の死亡理由は繊細な内容であるため、初回訪問時ではなく、お互いに関係性が構築されてから聞く。夫の死亡理由を聴取する優先度は低い。
5→本症例は独居であり、家族や医療スタッフの介助をすぐに受けられる環境にはないためであり、まずは、退院直後の生活(IADLを含め)を本人がどのように感じているかを聴く必要がある。生活の困りごとを聴取するのは最も優先度が高いため正しい。