30歳の男性。調理師。頭部外傷受傷後4か月が経過し、回復期リハビリテーション病棟に入院している。麻痺はないが、明らかな企図振戦がある。意識障害や著しい記銘力低下はないが、些細なことで怒り出す。作業をする場合にはすぐに注意がそれてしまい継続できず、口頭での促しが必要である。ADLは自立し、現職復帰を希望している。
この時期の作業療法の指導で正しいのはどれか。
1→受傷前の職場を訪問させるのは、時期が早い。現職復帰を希望しているが、職場復帰するかは未定であるため、受傷前の職場を訪問する際は、元上司や職員への病状説明や遂行できる環境を作る必要がある。
2→企図振戦があるため、包丁を用いた調理訓練は危険である。
3→本症例は、遂行機能障害があるため、作業工程リストを作ることで、計画の立て方を一緒に考え、手順通りに作業を遂行、継続していく。
4→注意障害によりラジオに意識がとられ、注意がそれてしまう。集中できる環境調整、個別や静かな部屋で一つの作業が必要である。
5→怒り出したときには厳格に「注意する」のではなく、感情障害(易怒性・脱抑制)を助長させる環境にしないことである。怒り出した理由や原因を探し、その要因を評価しないと退院後も復職は難しい。