30歳の男性。統合失調症で5年前に幻覚妄想状態で家族に対する興奮があり、医療保護入院となった既往がある。退院後はほぼ規則的に通院し、毎食後服薬していたが、3か月前から治療を中断し、幻聴や被害関係妄想が悪化し、両親を自宅から閉め出して引きこもってしまった。注察妄想もあり本人も自宅から外出できない状況である。多職種訪問支援チームが1年前から関わっており、訪問は受け入れてもらえている。
この患者への今後の介入で最も適切なのはどれか。
1→繰り返し服薬を強制するのは、適切ではない。まずは本人の意向を十分に聴き、その上で服薬の必要性を本人と共有することが重要である。
2→幻聴や妄想が悪化した結果、両親を閉め出しているので、両親への謝罪では、症状の改善は期待できない。
3→引きこもりの独居生活に入ったが、「多職種訪問支援チームが1年前から関わっており、訪問は受け入れてもらえている」ことから直ちに入院が必要なほどの緊急性の高い状態ではない。多職種訪問支援チームが訪問頼度を増やすなどして、まずは、本人との関わりを強化することが必要である。
4→本症例は、維持期であったが急性期に移行傾向のある統合失調症患者である。現在、「多職種訪問支援チームが1年前から関わっており、訪問は受け入れてもらえている」ことから、この支援チームとの関わりを手がかりとしたり強化することで治療につなげていく。
5→訪問頻度を減らすのは不適切である。なぜなら、訪問頻度を減らし、本人の助けの意思もなかった場合、 症状の悪化や治療の中断につながるおそれがあるため。