38歳の女性。性格が几帳面、完全主義。仕事仲間との関係性に悩んでいた。そうした中、浮腫を自覚したため内科を受診したところネフローゼ症候群と診断され、副腎皮質ステロイド薬の投与が開始された。投与開始1ヵ月後から蛋白尿が消失したが、「何事にも興味がわかない」などの言葉が聞かれるようになり、趣味のコーラスもやめてしまった。
今後検討すべき治療方針として、最も優先順位が高いのはどれか。
1→家族療法の対象は患者ではなく家族である。主目的は、家族全体に起こっている問題にアプローチし、不全となっていた機能を再生させることである。本症例のうつ症状は家族が原因で起こっているとは考えにくく、家族療法の優先順位は低い。
2→本症例はうつ症状の急性期と考えられる。音楽療法は回復期に行うことが適切であることから、優先順位は低い。
3→本症例はうつ症状の急性期と考えられる。精神分析療法は回復期に行うことが適切であることから、優先順位は低い。
4→本症例はうつ症状がみられる。抗うつ薬による薬物療法を実施する前に、うつ症状を起こしている原因となる薬剤の調節が最優先される。
5→副腎皮質ステロイド薬による精神症状に抑うつ、情緒不安定、行動の変調などがある。本症例はネフローゼ症候群の治療による副腎皮質ステロイド薬の影響により、うつ症状がみられる状態である。最も優先されることは、原因となっている副腎皮質ステロイド薬の服薬量調節であることから、正しい。