29歳の女性。歩行困難を主訴に整形外科外来を受診したが器質的問題が認められなかったため、紹介によって精神科外来を受診し入院することとなった。手足が震え、軽い麻痺のような脱力があり、自立歩行ができないため車椅子を使用している。立位保持や移乗に介助を必要とし、ADLはほぼ全介助である。
この時点の患者に対する作業療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
1→転換性障害を認める本症例に対して、自己洞察を促すことは、不適切である。
2→転換性障害を認める本症例に対して、自己表現の機会を増やすことは適切である。転換性障害の作業療法目的は、自己愛を満たし、自己表現出来る機会を提供することが含まれる。
3→転換性障害の症状が強く見られる急性期の本症例に対して、集団活動で役割を担わせることは、不適切である。まずは、患者に合わせて個別に対応することが望ましい。
4→転換性障害患者は、依存性が強い傾向がある。適度な心理的距離を保ち過度な依存や退行を防ぐ必要はあるが、自己中心的な依存であったとしても、受け入れない対応は不適切である。作業療法士として、訴えを傾聴することが必要である。
5→転換性障害を認める本症例に対して、身体機能に治療的な介入を行うことは適切である。転換性障害の作業療法基本方針は、身体的対応を優先し、身体機能の向上を図ることである。症状への意識を高めないために、症状の原因などには触れないようにする。