51歳の女性。パート勤務。職場で突然、動悸がして息苦しくなり口をパクパク開けて過呼吸となった。「出勤するとまた発作が起こりそうだ」と言って自宅に閉じこもっている。
この患者の症状で考えられるのはどれか。
1→適応障害は、進学、就職、転居などの大きな生活の変化や離別や死別のなどのストレス性の出来事に対して、順応するまでに様々な症状(抑うつ気分、不安)などを呈するものをいう。例としては、職場の勤務異動により、新しい部署の仕事や人間関係に慣れることができずに、苦悩や情緒不安定な状態が特続することが挙げられる。
2→身体化障害とは、多くの身体的訴えはあるものの、その原因がわからない。患者の主観的苦痛が続く状態をいう。頭痛や消化器症状、月経不順や異常知覚などのさまざまな身体症状を慢性的に訴える場合が多い。
3→解離性昏迷とは、解離性障害の一種で、意識は清明だが意志の発動がないため、言葉を表出できず、全く動けない状態である。
4→本症例は、「出勤するとまた発作が起こりそうだ」と予期不安もあることから、パニック障害と考えられる。パニック障害は、誘因なく、突然起こる発作(動悸、発汗、胸痛、息切れ、めまい、窒息感などの自律神経症状、それらの症状から2次的に起こる「気が狂うのではないか」「死ぬのではないか」という恐怖)をいう。
5→急性ストレス反応は、「その人の生命を脅かすような大きな出来事に遭遇し、その最中またはその後に自分が麻痺してしまったような感覚が出現し、この出来事を想起させるような状況を避けるなどの症状が2日~4週の間持続する反応」をいう。
問題文では、突然、動悸、息苦しさ、過呼吸などの症状の記述はあるが、「生命を脅かすような大きな出来事」はみられないことと、突然症状がみられることから、急性ストレス反応ではないと判断できる。