16歳の女子。6か月前から特にきっかけはないのに次第に手洗いと入浴の時間が長くなった。1か月前から手洗いに1時間半以上を使う状況となり、自分でもおかしいと感じるようになった。母親が途中でやめさせると余計に不安になり、最近ではやめさせようとすると反発して暴言を吐くようになった。そのため父親が本人を説得して精神科を受診した。
この患者が示す症状はどれか。
1→心気妄想とは、重大な病気や不治の病を患ってしまったと思い込む妄想である。心気妄想は主にうつ病患者でみられる。
2→強迫行為とは、強迫観念を打ち消すために繰り返し行う行為のことである。本症例は、「手洗いと入浴時間が長くなった」「手洗いに1時間半以上」の症状がみられており、これは強迫行為であることから、正しい。強迫性障害の特徴として、自分の行動が不合理だという自覚が患者本人にある。
3→常同行為とは、毎日同じ時間に同じことをする、同じ道を通って同じ場所に行く等、同じ動きを繰り返す行動のことである。常同行為は、前頭葉側頭型認知症、自閉症、生後3年以内の幼児期に現れる事が多い。
4→チック障害とは、顔をしかめる、瞬きをするなど意図しない意味のない運動が素早く繰り返される「運動チック」と、意図しない音や言葉を繰り返し発する「音声チック」がみられる障害のことである。チック障害は、ADHDや強迫性障害、学習障害を併発しやすく、精神的な緊張やストレスで症状が現れやすい。本症例は、強迫性障害であると思われるが、チック障害の症状は認められないことから、不適切である。
5→精神運動興奮とは、内的緊張が高まり、足で床を叩いたり、不穏状態になったり、落ち着きがなくなったりする状態のことである。主に躁病患者でみられる。