1→本症例のステージⅢは、明らかな歩行障害、方向転換の不安定など立ち直り反射障害がある状態だが、歩行は可能である。現段階で車椅子を勧めることは、不適切である。
2→本症例のステージⅢの時期は、明らかな歩行障害、立ち直り反射障害があり、日常生活動作障害もみられる状態だが、トイレまで移動できない状態ではないと思われる。排泄動作としては、便座からの立ち上がりや排泄後の後始末が困難となりやすいので、洋式トイレや手すりの導入、ウォシュレットの設置等トイレ環境を整えることが優先されるべきである。
3→パーキンソン病患者は、構音障害(声はやや甲高く、声量は少なく一様)も症状としてみられることもある。音声入力によるパソコン操作を勧めることは、不適切である。
4→パーキンソン病患者に対して、棒体操による頸部体幹伸展運動を作業療法として行うことは、正しい。中枢神経疾患によるみられる両側同時操作障害もパーキンソン病患者で出現しやすく、両手同時操作も訓練に盛り込むのは好ましい。また、ステージⅢの時期は、姿勢保持反射障害が著明にみられる時期であり、前傾前屈姿勢の改善を図り、転倒予防目的としても行うことは適切である。
5→パーキンソン病患者に、机上での細かいビーズを用いた手芸を提供することは、振戦・筋固縮、前傾姿勢を悪化しかねないことから、作業療法として不適切である。パーキンソン病患者には基本的に、粗大運動を提供することが好ましい。