37歳の女性。境界性パーソナリティ障害。高校卒業後、アルバイトをしていたが、気に入らないことがあると急に家出することを繰り返すため仕事は長続きしなかった。薬物療法と同時に外来作業療法が開始となった。
作業療法の目的で適切なものはどれか。2つ選べ。
1→境界性パーソナリティ障害とは、感情や対人関係の不安定さ、衝動的行動が中心的な特徴である。否定的感情や緊密な葛藤に満ちた対人関係を持ち、周囲の人を感情的に強く巻き込みやすい。作業療法の目的として、適度に依存欲求を満たし、居場所を作ることは適切である。
2→境界性パーソナリティ障害の特徴として、情緒の不安定さが挙げられることから、作業療法の目的として、感情のコントロールや衝動の適応的発散等による、情緒の安定を図ることは、作業療法の目的として適切である。
3→境界性パーソナリティ障害は、対人関係を築くことや他者との適切な距離感を図ることが困難である特徴がある。適度に依存欲求を満たすことは必要であるが、治療者は一定の距離感で一貫した対応を取る必要がある。濃密な関係を作る必要はなく、依存を促す必要はないため、不適切である。
4→境界性パーソナリティ障害の特徴として、衝動的行動がある。作業療法の目的として、衝動を適応的発散させて、衝動をコントロールしていくことが適切であるため、衝動性の行動化を促すことは不適切である。
5→境界性パーソナリティ障害は、対人関係を築くことや他者との適切な距離感を図ることが困難という特徴がある。治療者は一定の距離感で一貫した対応を取る必要があり、理想化を促す必要はないため、不適切である。