20歳の女性。幼少時に両親が離婚した後、友人関係が不安定となりトラブルが絶えなかった。中学入学後から些細なことでリストカットするようになり、精神科を受診し、その後、入退院を繰り返していた。男女関係のもつれをきっかけに過量服薬し救急車で搬送された。入院後は、医療者に対して依存的だが要求が通らないと激しく責める状態である。
この患者に作業療法を導入する際の対応で適切なのはどれか。
1→作業療法に参加する上での枠組みを明示することは適切である。境界性パーソナリティ障害は、治療者に対して依存したり自分の要求をエスカレートさせていく傾向があるため、一貫した関わり方や環境設定などの枠組みが重要である。
2→対人関係の不安定さがある為、初回の面接で対人関係を中心に取り上げる必要はない。
3→患者からの面接の要求は満たすようにする必要はない。自分の要求をエスカレートさせていく傾向にある為、決められた枠内のみで面接を行う様にする。
4→攻撃的になる場合でも担当者を交代する必要はない。対人関係では依存的になり、理想化とこき下ろしがみられることがよくある。担当者を代えずに関係の恒常性を維持できることが治療につながる。
5→課題集団での協調行動を促す必要はない。他者を巻き込み逸脱行動を起こす可能性もある為、導入での集団作業療法は適切ではない。