38歳の女性。1年前から夫が単身赴任。中学2年生の息子のことで心労が重なっていた。1か月前から眠れなくなり食欲も低下した。その後、気分が落ちこみ口数が減り、もともと好きであったテレビドラマも楽しめなくなった。母として妻としての自分を責め、涙をこぼすようになり、夫に付き添われ精神科を受診し、入院となった。患者は「料理の作り方が分からなくなりました」と訴えた。
この訴えに該当するのはどれか。
1→行為心迫(こういしんぱく)は、切迫した行動欲求があって落ち着かない状態を指し、躁病でみられる症状であり、本症例では不適切。
2→罪業妄想(ざいごうもうそう)は、実際にそうではないのに、自分が罪を犯していると思い込んでいる状態をいうが、設問の訴え「料理の作り方が分からなくなりました」には該当しない。
3→抑うつ気分とは、気分が落ち込んで何もする気になれず、意欲が著しく低下している状態をいうが、設問の訴え「料理の作り方が分からなくなりました」には該当しない。
4→喜びの喪失もうつ病の症状だが、設問の訴え「料理の作り方が分からなくなりました」には該当しない。
5→遂行機能障害は、必要な情報を整理し、計画を立てて実行するという一連の作業が困難になる状態をいう。設問の訴え「料理の作り方が分からなくなりました」は、思考制止などにより、作業の流れを頭の中で組み立てることが難しい状態にあることをうかがわせる。