47歳の男性。幼少期からクラスメートとの喧嘩が絶えず、しばしば担任から注意を受けていた。中学校卒業後、暴行と障害とで少年院に2回の入院歴、刑務所に4回の服役歴がある。最後の出所後、クリーニング工場に勤めたが、同僚への暴言によるトラブルをきっかけに飲酒量が増加し、飲食店で他の客と口論となって刃物を持ち出して逮捕された。その後、連続飲酒状態を繰り返すようになり、アルコール依存症と肝障害との診断を受けて入院した。作業療法では他の患者の発言に反応して威圧的な態度をとることが多く、指摘しても問題を感じている様子がない。
合併するパーソナリティ障害として考えられるのはどれか。
1→強迫性パーソナリティ障害とは、秩序やルールにこだわりが強く完璧にやり遂げようとし、日常生活に支障をきたす障害のことである。本症例には当てはまらないため、不適切である。
2→境界性パーソナリティ障害とは、人間関係や自己像、気分・行動の不安定性、見捨てられたりすることに対する過敏性を特徴とする障害のことである。本症例には当てはまらないため、不適切である。
3→回避性パーソナリティ障害とは、自分が拒絶や批判されたり、恥をかいたりすることを極端に恐れる傾向がある。そのような経験をする可能性があることを回避しようとする特徴がある。本症例には当てはまらないため、不適切である。
4→自己愛性パーソナリティ障害とは、自分の能力を過大評価し、他者の能力を過小評価する傾向がある。また、無条件に賞賛されたいという欲求や特権意識を抱きやすい。本症例には当てはまらないため、不適切である。
5→反社会性パーソナリティ障害とは、社会の規範を破り、他人を欺いたり権利を侵害したりすることに罪悪感を持たない障害のことである。主な症状として、他者の軽視、衝動的行動、無責任性などがある。本症例に当てはまることから、正しい。