1→小脳の障害では、Romberg徴候は陰性のため不適切である。小脳の障害は、開眼・閉眼に関係なく平衡障害が強い。また、小脳の障害部位によるが、起立・座位の障害や歩行障害、運動失調、筋緊張の低下、構音障害、目眩などの症状がみられることがある。
2→被殻の障害では、Romberg徴候は陰性のため不適切である。被殻は、手足の動きを制御している他、意思決定や運動機能に深く関わっている。脳出血の他、パーキンソン病やハンチントン病等の疾患でも、被殻の機能に影響を与える可能性があり、その場合は不随意運動や振戦をきたすことがある。
3→尾状核の障害では、Romberg徴候は陰性のため不適切である。尾状核と被殻を合わせて線条体と呼ばれ、大脳基底核の一部である。障害された時の症状としては、選択肢2の被殻と同様である。
4→視床下部の障害では、Romberg徴候は陰性のため不適切である。視床下部の障害では、交感神経中枢障害としてホルネル症候群、尿崩症、体温異常、睡眠障害、肥満ややせ、高ナトリウム血症又は低ナトリウム血症の症状がみられることがある。
5→Romberg徴候とは、両足をそろえつま先を閉じて立たせ、体が安定しているかどうかをみる。次に閉眼させて、身体の動揺をみると、大きく揺れてしまうことがある。この場合Romberg徴候陽性となる。この徴候は、深部位置覚の障害で出現する。脊髄後索、後索を侵す疾患、たとえば脊髄癆や大径有髄線維が侵される末梢神経障害などでは陽性になることから、正しい。